取材のときの話し方、というのがあります。当然といえば当然かもしれません。もちろん「お話をする」という点では同じ部分もたくさんありますが、「一緒に話す」のではなく、「お話をしてもらう」ための会話なので、普通とはちょっと違っていたりします。ある意味では肩肘を張った感じといえるかもしれません。
ですが、「Lamps Lodge’s Bar」にお邪魔したときは、ちょっといつもと違う感じになりました。
小淵沢にあるこのお店は、ペンション「Lamps Lodge」に併設された形のバー。ペンションに宿泊しているお客さんだけのためのお店ではなく、地元の人なども利用できるようになっており、いわばバーはバーで独立している形です。
「ヤツガタケノート」の取材は、比較的ゆっくりお話を聞くことも多く、2時間以上お邪魔していることもよくあります。この日もたっぷり3時間近くお邪魔してしまったのですが、実はそのうちかなりの時間は、普通のおしゃべりに近い、「取材」っぽくないお話
ただ、もちろん「取材」となると、当たり前ですが普通のおしゃべりとはちょっと違う感じになります。小淵沢のペンション「Lamps Lodge」に併設された「Lamps Lodge’s Bar」でも、もちろんそれは同じ……というつもりだったのですが、気づくとお話はいろんなところに。実は3時間お邪魔したうち、ほとんどは「取材」っぽくないお話をさせていただいていました。すごく普通の、雑談のような時間。
「取材する人」としてそれはどうなんだろう、というのはもちろんあったのですが、それ以上に「面白いなぁ」というのが、私の素直な感想でした。変に脱線したというわけでもなく、ごくごく自然に、当たり前のようにいろいろな話が膨らんでいく。オーナーの小林努さんの自然体という感じの話しぶりが、そういう空気をつくっていたんだと思います。
「泊まってるお客さんが来てさ、ここで地元で商売している人なんかと出会って、『じゃあ、明日うちに来なよ』って話になったりしたら、楽しいじゃない」。このバーについて、小林さんはそんなふうに話してくれましたが、ちょっとお邪魔しただけでも、不思議と話が広がっていく心地よさを感じるお店でした。たまにはひとりでふらっと、誰かとおしゃべりを。そんなときに立ち寄りたいバーだなと思いました。
ちなみに、本誌ではスペースの都合もあってちらっと紹介しただけになってしまいましたが、実はお料理もすごくおいしいんです。「バーだから」と思いがちですが、この日いただいたキノコをダシにした自家製カレーは、これでお店を出してもいいんじゃないかと思うお味。あっという間に食べきってしまいました。