小淵沢から清里へと続く県道608号線。中央高速の高架をくぐるとすぐ左に“PAPYRUS”の小さな看板が見えます。細い砂利道を上がると白を基調とした建物があります。八ヶ岳と牧草が広がる丘が眺められる絶好のロケーション、本当は“秘密にしておきたい”場所です。
PAPYRS(パピルス)は昨年の4月下旬にオープンした文房具、博物画、鉱物を中心に扱うお店です。店内にはオーナー 本山さんが丁寧に選んだ品々が並んでいます。
特に文房具にはこだわりが強く表れています。数百円のえんぴつやノートから高級万年筆まで幅広く取り揃えられていて、どれもオーナーが惚れ込んだ文具ばかりです。
奥の棚には鉱物の棚があります。均等に区切られた木の棚に並ぶ石たちに幼ごころをくすぐられたのは私だけではないはずです。見たことも聞いたこともないような珍しい石、手軽に買えそうな宝石の原石などがズラリと陳列されていて、手にとって石の形状を眺めているだけ、何千年の歴史が手元にあるかのようです。3cm角の木で作られた台座にのるサイズ感がコレクションしたい欲求を高めます。
店内には細かい配慮が感じられます。たとえばレジの近くの棚は、細かく間仕切りがされて、店員の存在を気にせずにゆっくり商品を選ぶことができます。小さなお店だと、店主とマンツーマンになって気まずい雰囲気になるのを避けるための心遣いです。
入口を入ってすぐ右手にあるスペースも見逃せません。北欧のアニメDVDが放映されている一角は子供向けのコーナーです。小さな長机と椅子が設置されていて、座った位置から外の様子を見ることができます。奥様が選んだアイテムが並ぶ、このコーナーは店の雰囲気を和らげている印象を受けました。色鉛筆で塗り絵をする子供たちの姿が目に浮かびます。
この店舗兼住まいは、本山さんがほとんど1人で改装しました。元は電球のフィラメントをつくる工場だった建物を、店内やエントランスはもちろん、水道工事までも自分で工事したそうです。移住してきて5年目の春。オープンの準備が整った頃には、地元で噂になるくらいワクワクする場所になっていました。
雑貨屋のような雑多な感じでもなく、かといって店主のこだわりが強すぎて入りにくい店でもない。こんな店、今まで八ヶ岳エリアにあったでしょうか?そこは、まるで小さな博物館のようです。立ち寄れば、いつでも発見があるような場所なのです。他の人には秘密にしておきたいけど、でも教えたい。きっと、PAPYRUSに行けば、夢中になれる商品がありすぎて頭がボーッとしてしまうことでしょう。